鉄路のあす

[ 2022年6月13日(月) ]

中国新聞が特集を組んでおられる、「鉄路のあす」ですが、各方面の方々の貴重なご意見が聞ける素晴らしい企画だと思います。JR西日本社長の本音、国交省鉄道局長の本音も聞けましたが、国民のために益々、議論を深めて欲しいですね。

旧国鉄を分割して1987年に民営化した訳ですが、東日本、西日本、東海の3社については新幹線や都市部の在来線で得た収益でローカル線を運行する「内部補助」で鉄道ネットワークを維持するように制度設計されていたのです。しかし、急激な人口減少によりローカル線の利用者は合併時の4分の1~5分の1までになってしまったのです。それに追い打ちを掛けたのが、コロナ禍です。

JR西日本が中国地方10路線21区間を含む17路線30区間の収支を公表し、沿線自治体に協議を求めてきたことに、ついにその時が来たかと私は思いました。多くの皆さんが、「JRはこれまで良く頑張った」という感想を述べておられますが、湯崎知事は、「国の交通政策の根幹として鉄道ネットワークの方向性を明確にしていく必要がある。それは国の役割だと思う」と述べられています。

ローカル線の在り方を考える国交省の有識者検討会の委員を務めておられる名古屋大学大学院 加藤博和教授の、「先ずは既得権や聖域は関係なく、地域にどういう交通が必要なのかを関係者で議論して考えるべきだ。新たな手段を入れていけば、地域全体を便利にできるかもしれない。そういう可能性を検討しないで「とにかく鉄道を残せ」というのは思考停止でしかない」とおっしゃっています。先生のお話は、「鉄路のあす③」(6月7日)に載っていますので、中国新聞デジタル版でご覧下さい。