矛盾を感じる

[ 2020年6月15日(月) ]

昨日の種苗法の勉強会に参加して感じたことは、「矛盾」である。国は主要農産物種子法を廃止しながら、各都道府県では独自の主要農産物種子条例を制定している現実がある。(主要農産物とは、稲・麦・大豆・ばれいしょ等。)広島県も議会最終日の6月30日に採決され可決の段取りと聞いている。

私はどうしてこういう流れになったのか全く理解できない。アメリカの巨大企業が日本に種を売りつけるために仕組んだものだと主張するグループがあるのも事実だが、本当にそうだろうか?主要農産物種子法は昭和27年に制定されました。それは、戦後の食糧増産という国家的要請を背景に、国・都道府県が主導して優良な種子の生産・普及を進める必要があるとの観点からでした。

農水省曰く、種子生産者の技術水準の向上等により、種子の品質は安定したが、水稲の種子の殆どは都道府県による種子開発・供給体制である。これからは民間企業との連携により種子を開発・供給することが必要という理由から主要農産物種子法が廃止されました。しかし、冒頭に書いた通り、各都道府県で独自条例を制定している現実があり、どうにも理解できない私です。

我が国の農産物の品種には、一般品種と登録品種があります。一般品種は、在来種・品種登録されたことがない品種・品種登録期間が切れた品種です。米は、コシヒカリ、ひとめぼれ、あきたこまち、ヒノヒカリ、ササニシキ等は一般品種(全体の84%)です。ぶどうは、巨峰・ピオーネ・デラウエアは一般品種(全体の91%)です。これら一般品種は種苗法は適用されません。

問題となっている種苗法が改正されれば、育成者権(登録品種の利用権の専有)が強化され、育成者の許諾なく自家増殖できなくなります。育成者権は、知的財産権の一つと考えられており、音楽の著作権と同等とお考え下さい。しかし、海外では育成者権は及ばないために、海外での品種登録が必要だそうですが、申請期間は1年以内で個別であったり、簡単にはできないみたいです。

このブログを書きながら感じたことは、①国は責任を放棄して各都道府県に丸投げした(しかし、水稲の種子だけは守る姿勢を示す)②海外対応は民間事業者に丸投げする③日本にもあった種苗企業(サカタのタネ・タキイ種苗とも世界9位)。ということから、「やっぱり分からない」というのが本音です。