三次ピオーネの思い出

[ 2025年7月10日(木) ]

各種マスコミで、「ハウス物の三次ピオーネが初出荷」と報道されていますが、私は三次ピオーネには忘れることができない思い出が沢山あります。それは48年前に遡ります。

以前のブログに、ある農機具メーカーに勤めていたことを書きましたが、株式会社丸山製作所という動力噴霧器が主力の会社です。入社して直ぐから、ステレオ・スプレーヤー(以下SS)の営業に先輩とピオーネ団地に通うようになりました。山を切り開いて土壌改良をしながらブドウを栽培していた時代です。

当時のSSは三菱の不整地装甲車(8輪車)の上に動力噴霧器と薬剤タンク、送風機を取り付けたものでした。何故、不整地装甲車かというと、ブドウ団地は造成して間がないので、普通のタイヤではぬかるみに入ると脱出できなくなるからです。しかし、ここでは想像もできないSSの事故が起きたのです。

ブドウ団地に霜が降るときには防霜のために多くの古タイヤを団地内で焼いていました。タイヤには強度をもたすためにワイヤーが入っており、ゴムが焼けたらワイヤーだけが残ります。このワイヤーがSSの車軸のベアリングに巻き付いて最悪はタイヤが脱落してしまうのです。

自分でも信じれないことですが、その車軸のベアリングを交換していました。まあ、私ひとりでではありませんけど。薬剤タンクに1000リッターからの薬剤がある場合、徹夜で修理しないと薬剤の薬効が落ちるので保証問題となるから必死です。当時は佐川急便が東京から徹夜で部品一つ積んで届けてくれていました。

そんな修理の時に、「食べんさい」と大粒のピオーネを差入れて下さるのですが、こんなに美味しいブドウがあるのかと、本当に感動しました。今でも当時の人が僅か残っておられますが、「丸山のSSは良くめげるが、林くんがいる間は浮気はせんけえ」と言って貰っていました。