漆は大変だと分かる

[ 2025年5月26日(月) ]

NPO丹波漆に視察研修に行くことは昨日のブログに書きましたが、漆掻きに関しての認識が誤っていることに気づきました。皆さんはご存知ないでしょうが、「養生掻き」と「殺し掻き」があるのですが・・・・。

漆は樹液が採取できるまでに10年以上かかることは何度も書いているのでご理解頂けている思いますが、問題は、漆液を採取する現在の主流は、「殺し掻き」という樹齢に達した漆の木から漆液を半年間で目一杯採取し、伐り倒すのだそうです。私は勝手に「養生掻き」でやるものだと思い込んでいました。

ということで、漆の木を伐り倒すと自然萌芽(切り株から新たな芽が出て)により10年後には次の漆が採れる様になるのです。ですから、1年間で100本の漆を掻くとすると10年周期では1000本の漆の木が必要となります。1000本の漆の木を苗木から育てるには活着率50%とすると、2000本の苗木を植える必要があります。

私たちは大変なことを思いついて実行しているのかと自分たちで呆れています。戦略を練り直す必要を昨日は痛切に感じました。半年間は漆に関する作業が発生しますが、冬場には作業はありません。しかし、農業と時期が重複するので忙しさが倍になるだけです。

昨日も丹波漆の人と話したのですが、国産漆を文化財の修復に使いなさいと指導するのであれば、国産漆奨励策を示すべきです。漆の木を植えて育てる人たちに何らかの保証を与えるべきです。植えても4年目で突然に枯れるとか、シカに樹皮を食べられて枯れるとか、あまりにもリスクが大きい事業であることも分かってきました。

しかし、私たちはやり続けます。漆の郷を目指して続けていきます。ご期待下さい。