がんばらない

[ 2010年8月5日(木) ]

読売新聞に「次代の証言者」というコーナーがあり、今は鎌田實さんの「がんばらない」が連載されています。長野県の諏訪中央病院の院長として活躍されていたことは皆様ご存知の通りです。

頑張ってくださいと患者さんに声をかけて、「もう頑張れません」と言われ返答に窮した鎌田さん。「死んだほうがましだ」と言われて、延命することが患者にとっては死ぬことよりも辛いことだと知った鎌田さん。私は彼の著書を読んだことはありませんが、この連載で初めて鎌田さんの人となりを知りました。

鎌田さんと一緒にやっていた今井院長は92年に参議院議員になり、厚生委員長などを歴任。62才、胃がんのために茅野市の自宅で死去されました。そして、鎌田さんも政治に誘われるが断ります。その理由をこのように書かれています。「ぼくは政治家にはならない。一人ひとりの感覚が変わらない限り、地域も病院も、国も変わらないと思ってしまう」と。

そして続けて、「亡くなる10ヶ月前、今井さんからの手紙にこう書かれていました。『僕は【鳥の目】、鎌ちゃんは【虫の目】でいきてきた』」と。私は何の目かなと考えています。鎌田さんが捨て子であったとか、養父の岩次郎との大喧嘩とか、養母の心臓病の手術。多感な時代を生きてきた鎌田さんですが、彼の信念は揺るぐことがなかったのです。

それは、高い志があったから、自分の方向性を見失うことなく生きてこられたのです。彼は猛烈に頑張った医師であり人間だと思います。私も、もっともっと頑張りたいと思います。