丹波漆に行ってきました

[ 2022年5月30日(月) ]

昨日午前7時に庄原を出発し、途中2度の休憩を挟み、「NPO法人 丹波漆」さんに10時30分過ぎに着きました。早速、漆を植えている圃場に案内していただき、1年生、2年生、3年生、4年生の漆の様子を説明を聞きながら観察して歩きました。

丹波漆の歴史は古く、寺院仏閣等の装飾用や漆器、楽器、武具等の芸術品などに使われていたのですが、昭和40年代から安価な中国製漆が輸入される様になり丹波漆を育てる人や漆掻き職人がいなくなる事態となっていきました。遅ればせながら文化庁は国宝級や文化財的価値の高いものの修復には国産漆を使うことを指導していますが、肝心の漆の木が消えてしまっています。

漆の苗から漆掻きができる成木になるには、早くて10年と言われています。全国各地で漆の植栽が行われていますが、その殆どが、4年生くらいから枯れていくのだそうです。原因は色々言われていますが、漆の生育についての研究はこれまで行われておらず、原因不明です。一つ言えることは、在来種の漆が生育している一帯では漆栽培自体は可能と言われています。

昨日案内して下さった、理事長の高橋さんと漆掻き職人の山内さんのお話を総合すると、漆の植栽や漆掻き等は、自分たちで知見を積み上げていくしかないということになります。国産漆の最大産地・岩手県二戸市の浄法寺うるしの職人さんたちも日々研鑽されながら自らの技を磨いておられるそうです。

私たちは今のところ、漆の木を育てることを第一に考えていますが、その先にある漆掻きも研究する必要性があることが今回の研修で良く理解できました。これから何度か丹波漆さんに研修に行くことになると思いますが、地元に新たに入ってきた若夫婦に漆の魅力を伝える意味からも丹波漆にご一緒したいと思います。