― 庄原市政や日々の出来事に関する事を書いています
[ 2016年12月11日(日) ]
新聞報道にもありましたが、長岡本社がある場所に子育て関連の諸施設を整備する案が執行部から提案されました。私は当初、拙速な計画であり容認できないと議員全員協議会で厳しく指弾しましたが、自身で調査を進めて得た結論は、「整備すべき」です。
そもそも論でいうと、長期総合計画にも載っていない事業であり、思いつきではないのかというのが大方の議員の意見だったと思います。医師の問題であり、デリケートですので、最終的に決まるまでは発表できなかったと執行部は説明するのですが、説得力がないものでした。執行部も議会も消化不良状態での意見交換だったというのが正直なところです。
どうしてこんなことになったのかと冷静に考えてみると、小児科医の確保が最優先だったのです。現在、三次市では、中央病院に4名の小児科医と開業医が2名の合計6名の小児科医がいらっしゃいます。庄原市内ではどうでしょうか、庄原赤十字病院に2名の医師のみです。更に、未だに庄原では子供が産めない状況が続いています。
庄原日赤での産科再開にむけて、あらゆるチャネルをオープンにして議論し連携した取り組みが続いています。その一環した取組から、「庄原で小児科医院を開きたい」という医師が表れたのです。その医師は庄原での勤務経験もある市内の医療の課題をよくご存知の方です。ですから、病児病後児保育施設や子育て支援施設を併せて整備することとしたのです。
普通なら、これまでの子育ての課題を解決できる事業ですから、「提案の仕方は杜撰だったけど、内容を聞けば理解できた」となるべきものですが、一部の議員による、「土地ありきの事業」との声や、「新年度予算で提案すべき」、「中心地だけが恩恵を被る事業」など、事業そのものでないところで批判がでてきたのです。
ひょっとしたら、このままの状況では、「こども未来広場(仮称)整備計画」は、否決されることになるかも知れません。計画では、平成30年5月1日に開業・開所となっていますが、万一、医師が来なくなれば全ての計画は白紙となります。市長が替われば計画も変わるなんてことを言う議員も表れてきて、市民の願いは置き去りです。
子どをも産み育てる環境を整備する方法を考えてみて下さい。産科再開が最優先ではありますが、環境となれば、小児科の充実が必須ではないでしょうか。外堀を埋めるという表現が適切かどうかは別として、産科再開の条件として、産科医を派遣しやすい環境(納得できる)を作らないと派遣に応じる医師もいないのが現実です。
産科医と小児科医問題は、庄原市だけの課題ではなく、三次市でも大きな課題なのです。三次中央病院での出産は限度を超えており、早期に庄原日赤での分娩再開をしなければ三次中央の医師も離れる可能性を秘めているのです。近年の医療訴訟から、産科医のなり手は極端に少なく、医師の引き抜き合戦の様相を呈している実態があります。
ここまで書けば、もう少し実態を書かなければならないと思いますので、書きますが、庄原市の執行部だけでこのことを勧めていたのでは決してありません。多くの医療機関の方々、庄原の小児医療を考える会の方々、子育て支援関係の方々、本当に多くの方々が関わっておられることを今回の議会騒動の過程で再認識いたしました。
子育て環境を整備する手法は一通りではないことは承知していますが、産科再開にむけての環境整備という側面から、「こども未来広場(仮称)整備計画」が突然に提案されたのだと私は理解しました。誰が提案したかではなく、誰のための提案かを考えれば、おのずと結論はでるのではないでしょうか。
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