不在地主問題

[ 2018年5月31日(木) ]

山問題を追っていると、山から木が出ない原因の一つに、「誰の土地か分からない」というものがあります。所謂、不在地主なるものですが、その根は深く、相続登記を行わない相続放棄地(所有者不明土地)が相当な面積にのぼります。

本当に誰のものか分からないという山林はそんなにはないのが事実ですが、相続登記が義務付けられていないために、資産価値が低いと判断した山林部の相続を放棄する所有権者が多いことから、「誰も手を出せない」山林が増加しているのです。登記から50年以上登記変更がされていない山林面積は実に32.4%あります。

庄原の山は宝の山と声を大にして言ってきた私ですが、宝の山も誰のものか分からなかければ伐採できません。そうなると、木が伐りだせない森林の荒廃は加速度的に広がるのではと私は考えます。荒廃は災害へと繋がります。手入れのされていない人工林は表土が流出していますのでゲリラ豪雨に襲われると一気に崩壊する危険性が高いのです。

資産価値だけの問題ではなく、災害の抑止という観点からも山の木が伐れる様に、所有者不明の土地を整理しなければなりません。信じ難いことですが、法務局の山林部の登記の図面の5割近くが明治時代の団子図(正確な測量はせず、団子を積み上げた様な絵図)なんです。最新のGPSの誤差が6㎝という時代に、未だに団子を並べた地図とは、農業構造改善の次は林業構造改善です。